横だけどちょっとまじめに答えるは……長文になるけどOK?
そもそも人工知能というのは、コンピュータに「知性」を持たせようという技術のことだ。現時点においては、「ある一定の範囲について」成功している。
例えば顔認識。画像や映像から顔と思わしき部分を検出するといったことを行う。
例えば自動定理証明。数学的な問題を論理式の問題と考え、持っている基礎知識(定理)の山から証明を組み立てていく。
よく漫画やアニメや映画で、ロボットが人と同様に会話し、思考し、行動したりするが、現代の科学はぜーんぜんその域に達していない。それどころか、「これって普通に考えても(そこまでの「知性」は)無理じゃね?」と大多数の科学者が考えているほどだ。なぜか? 簡単だ。
『記号着地問題』と『フレーム問題』という、途轍もなく厄介な問題がそこにはあるからだ。
『記号着地問題』というのは、要するに「ある物体や事象を記号的にどう定義するか」という問題だ。例えば「バラ」の場合、ロボの中で「バラ科バラ属の……」と定義すると、ロボは毎回バラの一部を採取してDNA分析しないとバラが「バラ」だと分からないことになる。かと言って「赤くて葉っぱが沢山あって……」と定義すると、白色とか朱色とかのバラに対応できない(人から見ればどう見てもバラなのに)。辞書を真似ればいいじゃん? 辞書はあくまでも、「曖昧な定義を理解できる」人間用に作られているのだよ。
『フレーム問題』というのは、「コンピュータに『常識』を持たせられるか」という問題だ。例えばロボに手紙を届けさせるとしよう。ロボが届け先へ向かってから帰ってくるまでには、それこそ数えきれないほど膨大な可能性(「道の角から飛び出してきた女の子とぶつかる」とか「空から女の子が降ってくる」とか)を考慮しなければならない。でも、コンピュータの処理能力は無限じゃないから、そういった「常識的にありえないこと」を全部無視する、なんてことができないのだ。単に「手紙を届ける」ことしか考慮しないなら別にどうだっていい問題だが、それだと「信号を待つ」「轢かれそうになった子供を助ける」等の「知的な」行動が取れない。ちなみに人含む生物の場合、この問題を「ある程度解いて」行動している。無意識の内に「常識的にありえない」ことは無視しているからだ(だから女の子とぶつかったり思わず受け止めたりしてしまうわけだが)。
人っぽい『知性』を持たせよう、ぐらいたいそれたものになると、それこそ
>NO.48110
や
>NO.48114
のように激ムズな茨の道なわけだが、例えば「将棋をさせる」「写真から顔と思わしきところを見つける」とかのように、狭い部分に限って考えればコンピュータにやらせることが可能である。
>NO.48196
のように、普通にif文をたくさん使って……と考えると無理ゲーなものをどうにかする、つまり「学習」で解かせるのが、
>NO.48278
で触れられている「ニューラルネットワーク」や「遺伝的アルゴリズム」といったものだ。どれを使うかは、それこそやりたいことによって決まる。
ZEROさんがNO.48109挙げた質問(希望)は結構有名なもので、難しく言えば「自然言語理解」という分野の研究にあたるものだ。人の会話を完全に解析するのは前述の通りまず不可能(「状況を考慮する」必要があるから)だが、「それっぽいことを喋る」ことを目標にしているのが、
>NO.48115
や
>NO.48117
で挙げられている「人工無能(脳)」といったものだ。人も結構単純なもので、それっぽい会話(実は「Aと言えばBと返す」の塊でしか無いが)をすれば結構「騙される」、つまり「人の会話っぽい」と感じてくれる。これは悪いことどころか、「『長門と綾波の違いについて教えて』といった曖昧な検索ワードを解釈して検索する」とかいった分野に使える。言うなれば「最先端の分野」にも使えるってこと。本としては、
『人工無脳』(1987年5月ビー・エヌ・エヌ刊)
『恋するプログラム - Rubyでつくる人工無脳』(2005年4月毎日コミュニケーションズ刊)
『はじめてのAIプログラミング - C言語で作る人工知能と人工無能』(2006年10月オーム社刊)
とかいったものをじっくり読んでみるといい。ネットでも、
人工無脳は考える(http://www.ycf.nanet.co.jp/~skato/muno/)
ALAIN A.I.(http://www.grokwork.com/alain/)
等々、個人で研究しているところがあるから参考までに。