まず、世の中には二種類のモザイクが存在するという話をしましょう。
それは、「元に戻せないモザイク」と、「元に戻せるモザイク」です。
よく使われるのは前者の方で、ボカシ処理をしたり、画素の平均値などで
塗りつぶすことによって、元の絵を分からなくさせます。こちらの場合、
シャノン=ハートレーの定理により元に戻すのは不可能です。
ですが、後者の場合、見た目は後者のモザイクに近いにも関わらず、
ソフトウェア的な操作(パスワードを設定できる場合もある)によって
元に戻すことができてしまいます。
昔の話ですが、後者によって処理された画像が流行し、作成するための
ソフトウェアも多く出回っていた時代がありました。言うまでもなく、
それは性的な画像にも使われていました。これに怒ったのが警察です。
なにせ、法に触れるような猥褻な画像でも、パッと見はモザイク処理された
ように見えるのですから。
そこで、そういった作成ソフトウェアの1つであるFLMASKというソフトの
作者が、わいせつ図画公然陳列の幇助罪で逮捕され、その結果、
懲役一年執行猶予三年の有罪判決になりました。
もっとも、この事件で争点となったのは、
「猥褻な画像(後者の方のモザイク付き)を配布するサイトにFLMASKの作者が
相互リンクを「Eメールを通じて」許可したこと」
「(後者の方の)モザイクが掛かっていても法に触れるか」
「そもそも実体がない電子データがわいせつだったとしても法に触れるのか」
といったことですので、単に見せしめというのは語弊があるかもしれません。
ですが、ただファイルを暗号化するソフトならともかく、画像の画素を弄って
暗号化するソフトというのはそうしたリスクを多分に含む、と言えるでしょう
(事実こうした可逆モザイクは事件以降急速に廃れました)。
ゲーム等で使用する画像にこうしたロジックが絶対に必要というのでしたら
別に悪いとは言いませんが、「画像暗号化ソフト」として配布するのは
(実際に悪影響があるかはともかく)避けた方が無難でしょう。
参考:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%82%AF%E5%87%A6%E7%90%86
http://ja.wikipedia.org/wiki/FLMASK
http://okwave.jp/qa/q436381.html
http://sonoda.e-jurist.net/data/fl_link02.html
http://www.forest.impress.co.jp/obsolete/topics/1997/04/12/
http://www.amd.or.jp/ncwp98/topics/05.html
http://www.rikkyo.ne.jp/~araki/naraki/shirase/houdai/flmask.htm